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【ヴェルサーチ】ミューラル 2023年春夏コレクション – もっと、繊細であるために

ヴェルサーチ

ミューラル(MURRAL)の2023年春夏コレクションが、2022年9月12日(月)、東京池袋の自由学園明日館にて発表された

等身大の自分

ミューラル 2023年春夏コレクション - もっと、繊細であるために|写真55

日常に潜む機微、移ろい、あるいは優雅さを、透きとおった眼差しで見つめ、それらをすくい上げる──ここ数シーズンのミューラルには、そういった繊細な身振りが通底しているように思うこの繊細さは、けれども分厚いヴェールを介しては、たぶんありえないひとひらごとにヴェールを脱ぎ去って現れる自分──今季のテーマ「ヌード(NUDE)」とは、その繊細さの核とでもいうべき優しき鋭敏さ、ややもすればひりひりと痛む、等身大の自分の表現であり、単にエロティックなイメージとは異なっているといえるヴェルサーチ t シャツ コピー

ミューラル 2023年春夏コレクション - もっと、繊細であるために|写真29

ヴェールを脱ぎ去った「等身大」の自分を志向した背景には、デザイナーの村松祐輔と関口愛弓の内省があったというたとえば華やかなドレスのように、ふたりが得意としてきたのは、1着のドレスに要素やディテールを重ねに重ねる服作りであった今季のミューラルが試みたのは、いわばそうした重さを削ぎ落とした、飾ることのない等身大の自分を示すことだった

ミューラル 2023年春夏コレクション - もっと、繊細であるために|写真23

この「等身大」こそ、今季のミューラル全体に響きわたる言葉だそのために、村松と関口は自身を形成してきたものへと眼差しを向ける朧げな記憶であるというより、それらを今の自分たちの視点から表現することだから、ミューラルを象徴するオリジナルの刺繍レースは、関口が幼少期より慣れ親しんできた家の庭に咲き乱れる、ささやかな花々をモチーフにフランネルフラワー、ポピー、そしてカスミソウ──日常に溶け込んでいた花の姿を刺繍レースにのせ、総刺繍レースのAラインドレスやキャミソールワンピースなどに落とし込んだ

ミューラル 2023年春夏コレクション - もっと、繊細であるために|写真14

等身大であるためのキーワードが、「DAVID LYNCH」と「ORE」、「JELLYFISH」の3つであり、これらが素材やシルエット、ディテール、あるいはカラーパレットへと繊細に込められてゆく透明で幻想的な「JELLYFISH」、すなわちクラゲは、「ヌード」という言葉から村松と関口がともに連想するモチーフであったという舞うようにして水の中を漂うクラゲの姿は、ギャザーを寄せたティアードドレスやスカートの幻想的なシルエットと柔らかな躍動感に反映されているヴェルサーチ スーツ コピーシアーな素材感もまた、澄んだクラゲのイメージを喚起してやまない

ミューラル 2023年春夏コレクション - もっと、繊細であるために|写真12

自然のなかにまばゆくきらめく鉱物──幼少期より「小さくてきらきらしたもの」を好んできた関口にとって、「ORE」つまり鉱石は特権的な対象であった鉱石が見せる多彩な表情は、素材のカラーやテクスチャー、刺繍やプリントのモチーフなどで幅広く表現されており、たとえばコレクションを包むグリーンとライトブルーは、翡翠とアクアマリンの鮮やかな色彩を映しだしたもの光沢感を帯びた素材には、鉱石の断片をプリント収縮刺繍やジャカードには鉱物をモチーフとして取り入れるとともに、ラメ糸によって鉱物のきらめきを留めおく

ミューラル 2023年春夏コレクション - もっと、繊細であるために|写真25

そして、青年期の村松がカルチャーの世界に足を踏み入れる契機となったのが、デイヴィッドリンチであったなかでも今季に着想源となったのが、ヌード写真集のNUDES光と影が交錯しつつ見せる、身体の歪な姿、あるいは翳りを帯びた色調のなかに突如現れる、ネイルの鮮やかなレッドカラー──そうしたどこか異質さを帯びた歪みを、ミューラルらしい繊細なペールトーンのなかに不意に現れる、深紅の鮮やかな色彩などに落とし込んだ